若恋【完】
突然の展開についていけなくて、榊さんの横顔を見ると、
榊さんも戸惑いの表情をしてた。
「三年前…」
小さく呟く口元が、ああって思い出してたみたい。
「りおさん、彼はわたしたちの救世主かもしれません」
え?
「彼が力になってくれるのであれば若も救い出せます」
ほんとう?
未来は明るいの?
奏さんを一緒に助け出すことができる?
明るい気持ちになって榊さんを見上げる。
「今なら彼と一緒に若や妹さんを助け出せます」
「うん」
「りおさん、後ろに下がって」
言われた通りに数歩下がって成り行きを見守る。
「龍さま。この三年間、わたしがどんな気持ちでいたかわかりますか?」
「まる、い…まさか裏切る、のか?」
「……三年じっと我慢してたんですよ。悲しみや憎しみは薄れるものだと思ってました。…だけど、もう疲れました」
「…俺を、それで撃つと、…いうのか?」