若恋【完】
二発の大きな鈍い音がして。
ヨロリ、一瞬力が抜けた。
「りおさん!」
「だ、だい、じょうぶ」
壁に寄りかかり大きく息をする。
―――見ちゃダメ
―――聞いちゃダメ
物音がしなくなったのも一瞬で、
「お嬢さん、妹さんは無事に逃がしましたので安心してください。大神さまは向こうの奥の部屋です。鍵はわたしが持ってるので急いでここを出て、」
丸眼鏡さんがジャラと鍵を取り出してわたしの手にのせる。
「急がないと今の銃声で人が来ます」
考える隙を与えられないまま鍵を渡され、廊下に押し出される。
「向こうの一番奥の部屋です」
さあ、行ってください!
わたしの背を軽く促し、丸眼鏡さんは頷いた。
「あなたは?」
「わたしも一緒に行きますよ」
そう丸眼鏡さんが答えた時、丸眼鏡さんの背中越しにさっきエレベーターを降りてからわたしたちをつけてきたふたりの男の姿が見えた。