若恋【完】



足も震えてる。

自分のワンピースに散っている赤黒くなった染みを見てはまた震えがくる。


丸眼鏡さんが撃たれた。


もしこれが。

もし撃たれたのが奏さんだったらって思うと気が狂いそうになる。



「なにがあったんだ?」

「…丸、眼鏡さん、が」

「あ?」

「あのひとが龍神会、を、撃ったの。わたしたちを助けて、くれたの」



仁お兄ちゃんが助手席でわたしを肩越しにみる。

ルームミラーには毅さんが困惑顔をしてわたしを見てる。



「わたしの妹はすでに助け出されてて」



やっと。

やっと、見知った町並みに入り気持ちが落ち着いてくる。

追ってくる車がいないと確認して、車は屋敷内に滑り込んで静かに停車した。



「りお、これを着な」

仁お兄ちゃんからパーカーを渡され羽織って車から降りてすぐに奏さんの乗る車のドアを開けた。



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