若恋【完】
龍神会崩壊
車のドアを開けた…奏さんの腕の中で、静かに大きく息をする丸眼鏡さんの表情は穏やかで。
いま。
命の火が燃え尽きるところだなんて信じたくなくて。
だけど、握った丸眼鏡さんの手のひらが冷たくなってきて命が尽きてしまうのを感じずにはいられなくて。
必死に丸眼鏡さんの手のひらを擦り続ける。
「丸、眼鏡、さん…」
わたしの呼び掛けにうっすらと瞼をあけた。
「…向こうで、むすめ、に、会えるで、しょう…かね?」
微かに笑みをこぼす丸眼鏡さんに胸がギュッとなる。
「…うん。きっとね」
泣いてるのをみたら丸眼鏡さんが笑うに決まってるのにボロボロ涙が流れ落ちて止まらない。
「奏さん、」
しっかりと丸眼鏡さんを抱き抱えている奏さんを見つめる。
お願い。丸眼鏡さんの命をこの世にとどめて。
わたしたちを助けてくれてまだ恩返しもしてないの。