若恋【完】
最期に深く深く息をして、身体中の空気を吐き出して静かになったのをわたしは忘れない。
目の前で為す術もなく命が散っていくことだってあるんだって心に刻む。
「丸眼鏡、さん…ありが、とう」
シン
誰もが声をなくしてた。
奏さんを、わたしの妹を助けだせたのは丸眼鏡さんがいたから…
丸眼鏡さんがいなかったらきっと助け出せなかった。
ありがとう。
ありがとう。
何度お礼を言っても足りない。
握っていた手を丸眼鏡さんの胸の上に静かに置く。
「毅、…医者を呼べ」
「はい」
顔を伏せていた奏さんが顔をあげた。
目が少し赤い。
「りお」
「うん、ひっく」
「どんなことがあっても、お前は俺のことを好きでいてくれるか?」
「うん」
「なにがあっても俺のことを嫌いだなんて言わないでいてくれるか?」
「うん、」