若恋【完】



「これからタクシーでお寺まで行きます。和尚様にはすでにお話は通してありますので。そうですね、タクシーで20分ほどだと思います」

「そうか、じゃ行こう。おい仁、りおに無闇に触るな」

「何言ってるんだ?妹だぞ?」

「…ベタベタ触るな」


「俺はお兄ちゃんだぞ?」

「お兄ちゃんだよ?」



わたしと仁お兄ちゃんは首を傾げると、側で毅さんがまるで榊さんのように笑った。

「違いますよ。若は仁さんにやきもちを妬いてるんです」

「やきもち?」

仁お兄ちゃんが目を丸くする。
わたしもパチクリ。



「奏さんが?やきもち…?」

「悪いか」

「…ううーん、うれしぃ」


奏さんがやきもちなんて。
いつだって真っ直ぐに前を向いてて。
いつも余裕の顔しててやきもちなんて妬いてる素振りもなくて。

それが―――やきもち?

だったら
「うれしぃ」



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