若恋【完】
奏さんが心配しないように、奏さんに悟られないようにわざと明るく答えた。
「一晩ゆっくり眠れば大丈夫だろうって」
「そっか、よかった」
わたしの額を掻き分けてキスをひとつ落とす。
宝物を大事に大事にしてくれてるみたいに上着で包んでくれる。
ねえ、奏さん。
もし、お医者さまが言った通りにわたしのお腹に赤ちゃんがいたらあなたはどうする?
産んでもいいって言ってくれるのかな?
それともいらないって拒否されちゃうのかな?
中絶しろって言われちゃうのかな?
ねえ、奏さん。
もしも。わたしのお腹に奏さんの赤ちゃんがいたなら産んでもいいかな?
「ん?どうした?」
「………なんでもない」
「へんなやつだな」
しがみつくわたしを奏さんが抱き寄せて笑う。