若恋【完】
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「軽い風邪で済んでよかったですね」

毅さんがにっこりと笑ってわたしと奏さんの荷物を持ってくれている。

わたしはと言うと、奏さんの上着に包まれたまま奏さんの膝の上に乗っかってる。



「タクシーの中でもいちゃつくのはやめろっつうの」
まるで不貞腐れた子供のように仁お兄ちゃんがブツブツ言ってる。


「りおが寒いって震えてるのを黙って見てろっていうのか?」

「だから〜なんで膝の上にりおを乗せてんだよ。ったく、こっちが恥ずかしくなんだろぅが」

「まあまあ仁さん。落ち着いて。ほらもうすぐ椿館に着きますよ」

喧嘩でも始めそうなふたりをさりげなくフォローしてる毅さん。


わたしたちが小児科の先生のところから出て車で10分ほどで旅館に着いた。




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