若恋【完】
そっと両手でお腹を触ってみる。
いつもの体と何も変わらないのに、小児科の先生が話してくれた、『お腹の赤ちゃん』を意識してしまう。
『んー、そうね。80%ってところかしら』
わたしのお腹の中には奏さんの赤ちゃんが80%の高い確率でいる。かもしれない…
「入るぞ!」
「え?きゃぁ、奏さん!」
ボンヤリとお腹を擦っていたわたしの後ろの扉が開いて、鏡越しに奏さんの上半身裸の姿が見えて思いっきりどもった。
「うわ、や、ちょ、奏さん!」
「なんだよ。まだ入ってないのか」
いきなりの侵入者にわたしの顔が熱くなる。
ひとりで入るって思ってたからびっくりして…
「りお、今お腹を押さえていたみたいだが…痛むのか?」
「―――え?
あ、あの、違うよ」
「そうか?…それなら別にいいんだが。なんか気になることがあったら言えよ」
「―――うん」