若恋【完】
あれ?
ぱちくり。意識が急にはっきりして周りをみると、また奏さんの腕まくらの上に眠ってて、厚い胸にぴったりと寄り添ってた。
あ、奏さんの腕の中で、
気持ちが弾けちゃったんだ…
まだふわりとしてる感覚がある。
さっきの甘くて柔らかな奏さんの声を思い出す。
『おまえを抱きたい』
『俺だけにその声を聞かせろ』
『―――啼け』
うっきゃあ!
思い出すだけでほっぺたが熱くなる。
「無茶させたな」
なんてククッってわたしを覗き込む意地悪な瞳がなんとなく憎い。
「奏さんの…意地悪…」
さっきの激しい想いをぶつけてきた奏さんと違って穏やかにわたしを見つめてる。