若恋【完】
旅の残りの二日間は体調も崩すことなく奏さんと仁お兄ちゃんと毅さんと楽しく過ごすことができた。
旅に来て体調がたまたま優れなかった時に熱をだし、それでまだ具合がパッとしなかったから吐いちゃったりしたんだろう。
こじつけのように自分にそんな納得をさせかけた時、仁お兄ちゃんから流れてきたタバコの匂いにいきなり反応した。
「ぅ」
グッと息を止め、誰にも不審に思われないようにトイレに行く。
ケホッケホッ
屋敷に戻る途中、空港のトイレでわたしは自分の体に明らかに何かが起きつつあることを悟った。
―――わたしの
このお腹の中に。
奏さんの赤ちゃんがいる。
―――赤ちゃんがいる