若恋【完】
掠れたような奏さんの声。
「―――俺の子」
「うん」
抱きすくめる腕に力が込められて。息苦しくて、でも温かい気持ちになって…
ひっく
「ねえ、奏さん…わたし、産みたい」
「…誰も堕ろせなんていってないだろ」
きっぱりと言い切る声の先にはわたしを覗き込む瞳。
「堕ろすなんて許さない」
「…うん、ぐすっ」
「おまえこそ、あれこれ考えて勝手な真似をするんじゃねえぞ」
「…うん」
「俺の前からいなくなるとか変なこと考えるなよ」
「………」
「考えたな?」
「………」
考えなかったわけじゃないから言い返す言葉がみつからない。
泣けてくる。
「りお、」
「ぐすっ、ひっく」
「―――おまえは何にも心配しなくていい」
「…ん」
「おまえが心を痛めたりしないようにするから」
「?」
「手を、出せ」
「?」
涙を拭い奏さんを見上げて両手を出す。