若恋【完】
榊さんが声を立てて笑う。
「確信があったから、りおさんのご両親に是非に嫁にほしいと先日申し出に行ったわけなんですけどね」
「………」
「りおさん、今日の夜は…長く特別な夜になりそうですね」
ドキリ
心臓が跳ねた。
すっ
榊さんの柔和な表情から一変、口元が引き締まる。
「おそらく若の父は、…りおさんを認めないでしょうから」
「―――え?」
榊さんの低い声に背中に一瞬冷たい汗が流れた。
今なんて言ったの?
わたしを認めない?
「若には極道のそれなりのお嬢をめとるつもりでいたらしいので…」
それって。
「…わたしのことは奏さんに相応しくないって思われてる…そういうことなのね?」
「…りおさんをカタギのお嬢さんっていうだけで今までも会おうともしなかったですからね」
「え?」
わたしに会おうともしなかった?
今日、奏さんが両親のいる家に行くって言ったのは、奏さんがわたしを両親に会わせて認めさせたいから?
「………」
「若は決めたんですよ」