若恋【完】
二階へ上がり、ソファーに座った奏さんの背中を後ろからギュッと抱き締める。
たまらなくいとおしいひとをこの手に抱き締める。
わたしの腕から奏さんの存在が消えてしまわないように抱き締める。
―――奏さんが好き
「りお、薄着してると腹の子が冷えてしまうぞ」
わたしの腕の中に閉じ込められてる奏さんが小さく笑った。
わたしの左手薬指にはめたリングを確かめるように触れる。
「りお、こっちに来い」
奏さんはわたしを隣に座らせてお腹に手をあてた。
「………」
「………」
まだまだ小さくて、お腹の中にいるってことも実感がない。
産婦人科からもらった三枚の写真が奏さんにはお腹の中の子を感じることができるだけ…
「―――男だな」
奏さんが口の端をあげた。