若恋【完】
何の根拠もないのに、男の子だなんて決めつけちゃって。奏さんたら。
「絶対に男だ」
あんまり自信満々に言うもんだからおかしくなっちゃう。
「女の子かもね」
「いや、男だ絶対」
なんで絶対に男って思うんだろう?
「俺の家系は男ばっかりだからな」
ああ、なるほど。
お兄さんふたりだもんね。そのお兄さんも男の子ばかり生まれてたっけ。
「………」
「………」
一瞬黙った奏さん。
そして重い口を開いた。
「今夜、親父に会いに行くが―――」
「う、ん」
「親父はおまえを傷つける言葉を浴びせたりするかもしれない」
…うん
「おまえは俺が守る。それだけは信じてくれるか?」
信じるもなにも。
ついていくって決めたんだもの。
奏さんが守ってくれると言う前にわたしも奏さんが傷つきそうな時には全力で守りたい。