若恋【完】
「榊さんから聞いたよ。わたしのこと認めないだろうって。…だけど、」
わたしは顔を上げて奏さんの瞳を見た。
「認めてもらうまでわたし諦めないから」
確かに婚姻届けは奏さんからもらったけど書いてない。
奏さんのご両親に会ってからって思って…
認めてもらえないかもしれないけど認めてもらわないうちは書けない。
「りおが心配することないけどな」
少しだけ目を見開いて、奏さんが告げて笑った。
「…りおは強い女だな。いつだって俺を驚かす」
そして目を閉じた。
「―――光のある世界に連れていってくれるのはおまえだけだ」
そう言って奏さんはわたしを抱き締めた。