若恋【完】


今が一番大事な時期なんだろう?


「おと、お父さん知って…」


どうして…知って…



「成田から聞いた」

「…成田?」

首を傾げると、

「ここの医者の名前だ」

奏さんが付け足して説明してくれた。



「成田が教えてくれたんだが…腹の中に子がいるのに無茶するのは感心しないな」

苦虫を噛み潰したような顔をして眉を寄せた。


「咄嗟にああいう行動が取れるというのは素晴らしいことだが、まずは自分の身を大事にすべきだ」

お父さんは奏さんに視線を向けた。

「まあ…奏が溺愛してるのがわかる気がしたがな」



ピクッ

わたしの隣の奏さんが反応した。

「親父、」

「カタギのお嬢ちゃんだなんて、バカにしてたが。いや、なかなか肝の座った娘だと正直驚いた」

「………」

「今まで奏が遊んでた女とはまるで違うようだな」


「っ、親父!」


その手の話しは前に榊さんや仁お兄ちゃんから聞かされたことがある。




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