若恋【完】
「認めるわけにはいかない」
頭の中に響く声。
カタギのお嬢ちゃんだからダメって反対されてたってのも聞いてた。
認めてもらえないだろうっても思ってた。
認めてもらえないだろうけど認めてほしい、認められたいって思って、…奏さんのお父さんと真っ直ぐに向かえ会えた時には認めてもらえたって思ったのに。
「認めるわけにはいかないと言ったのは撤回する」
「―――え?」
顔を上げる。
「勝負にわたしは負けていた。奏に力負けした時点で体勢が崩れた。その時にすでに勝負はついていた」
わたしの負けだ。
「奏、おまえのりおさんを認める」
「…親父」
「…お父さん」
声が震えて喉に言葉が詰まる。
認めてほしいって思ってたのが現実になって、こんなにうれしいことってない。
みんなに認めてもらえて心が震える。