若恋【完】
準備万端。
奏さんも正装して髪を少しだけ分けている。
「大神りお…か」
「え?」
「いや、今日籍を入れたんだなってな」
ポツリと呟いた奏さん。
そう。今日のパーティーはわたしには特別なものになる。
奏さんのお嫁さん。
奏さんの妻として、大神一族に正式に加わったことへのお披露目になる。
コンコン
ドアがノックされて毅さんの声が聞こえた。
「若、りおさん、準備整いました」
「今行く」
小物を持ったわたしの手を取って立ち上がらせる。
「無理はするな。いいか?何かあったら俺を呼べ」
「うん」
普段一緒にいるから滅多に携帯は使わないけど、今日は奏さんと離れて行動する時間があるから身につけろと言われている。
「携帯も持ったよ?」
「何度も言うが、ひとりにはなるなよ。仁をつけるが油断はするなよ」