若恋【完】

ドアの向こうでわたしたちが出てくるのを待っている毅さんに奏さんが告げた。

「若、仁さんならここに一緒にいます」

静かな答えがすぐに返ってきた。



「ふたりとも入れ」


わたしから離れて奏さんが前に立ちふたりが入るのを待った。


「若、なにか?」

「なんかあったのか?」


入ってきた毅さんと仁お兄ちゃん、ふたりとも正装してていつもよりずっと凛々しかった。

怪訝そうな顔をしてる。



「仁の持ち場はどこだ?」

「あ?俺はクロークそばだが?得物を持ち込んでるヤツがいないかをチェックする」

「毅は?」

「わたしは若の護衛です」

「榊は?」

「組長の護衛です」

「そうか…」


奏さんは宙を見上げて両手をポケットに手を入れて考えてた。


「仁、持ち場を離れてりおの護衛をしろ。仁の持ち場のクロークそばを毅がみろ」

「では、若の護衛は?」

「―――俺はいい。一也がいる」



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