若恋【完】

「若は、組長が待ってますので舞台袖へ。りおさんは留恵さんが控え室にくるようにと」

「お母さんが?」

「渡したいものがあるって言ってました」

毅さんが戸口を潜る時に話してくれた。


「りお、後でな」

「うん」

「留恵さんは孔雀の間です」

「うん、わかった」



仁お兄ちゃんと並んで孔雀の間まで歩き出す。

「りお、お前すごいかわいかったんだな」

「えー、そんなこと言っても何も出ないよ?」

クスクス

「いや、マジで俺の妹にしちゃかわいい」

「奏さんの選んだ着物がきれいなだけだよ」

「それだけじゃねえと思うがな。元がいいんだ元が」

「なにそれ」くすっ


大神物産のパーティーのため一部の関係者しか入れない奥に仁お兄ちゃんと進んでいく。

すれ違うひとはそんなにいなくって、時々すれ違うひとがいると仁さんを見かけると頭を軽く下げていった。




< 277 / 417 >

この作品をシェア

pagetop