若恋【完】
「仁お兄ちゃんってすごい」
わたしが驚いていると、
「なにがだ?」
ワケわからないことを言うなって笑われた。
「俺なんかより、今日のクリスマスパーティーが終わってからは大神一族の仲間入りしたりおのほうが注目を浴びるぞ」
「そんなの浴びなくていいけど」
「まあな。おまえはただの俺の妹でいてくれたらいい」
「うんそうだよね」
すっ。
角を曲がると、正装してサングラスを掛けた俊敏そうな男がふたり立っていた。
「孔雀の間はここだ」
仁お兄ちゃんがふたりが立っている戸口を見る。
「留恵さんがりおに渡したいものがあるって聞いたんだが…」
言葉遣いが悪いのは珠に傷だけど、それが仁お兄ちゃんらしかった。
ふたりのサングラスさんが顔を見合わせたけど、すぐに、
「仁さん、りおさんどうぞ」
と、中にすんなり通してくれた。
「大神りおさんが来ました」
サングラスのひとりが告げると中から明るい声が聞こえた。