若恋【完】
わたしの気持ちは決まってた。
曲げることなんてできない。
「お願い、仁お兄ちゃん」
「駄目だ。危険すぎる」
「だったらどんないい手があるって言うの?」
思わず詰め寄っていた。
「………」
難しい表情した仁お兄ちゃんに負けないようにじっと睨み返す。
「わたしだったら、ひとを殺めることより、差し出された手を選ぶわ。確かに迷うかもしれない。だけど好きでひとを殺したいわけない」
「………」
「わたしは絶対に大丈夫だから。だから―――お願い」
祈るように手に力を入れる。
「―――わかった」
力なくため息をついた仁お兄ちゃん。
ドサッ
だらりとソファーに倒れこんだ。
「若には俺から頼んでみる」
「あ、ありがとう仁お兄ちゃん」
「礼なんか言うな。俺はおまえが無茶するのを黙って見てなきゃならないんだぞ。
もしも失敗したら…
そんなの考えたくもねぇ」