若恋【完】
「りお…大丈夫なの?」
優しい声に揺り動かされて目を覚ました。
霞む瞳には青ざめた両親の表情が映ってる。
「怪我したって聞いたから飛んできたのよ」
「大神さんから聞いたよ。怪我をしてここに運び込まれたと」
お母さんは半分泣いて、お父さんはわたしを見て安堵して深く息を吐いた。
「…お母さん」
「いいのよ。ゆっくり眠って。ずっとそばについてるから、ね」
鼻を赤くしてたお母さんは横を向いてハンカチで涙を拭った。
「お母さんあのね。……あのひと悪くないの」
悪いのは大神さんをどうにかしようとした人たちだから。
それに、わたしが勝手に飛び出しただけだから、大神さんは悪くない。