若恋【完】
「あなたバカネ。黙っていればコロサレずに済んだのに」
苦い表情してソファーに座っているわたしを見下ろしてる。
わたしもふたりを交互に見つめた。
銃口を向けられてもきっとわかってくれると信じてる。
「わたしはあなたたちが上から命令されて仕方なく引き受けたの知ってる。失敗したら毒を飲めって言われたのも聞いたの。
……わたしはそんなことさせたくない」
彼女たちの瞳が揺れた。
ふたりも自分たちが墜ちてたどり着く場所が本当はわかっていたから。
どうせ消されてしまう。
祖国には帰れない。
それをわかってる。
このまま時が進めば近いうちに闇に葬られる。
「今なら引き返せる。故郷に帰って静かに暮らせる」
わたしの声がふたりに届くように。
ふたりの未来が明るいものであることを祈り。
「今ならまだ間に合うの」
「………」
「今なら間に合うの」