若恋【完】


通じないかもしれないなんて思わない。

わかってくれると信じてる。

―――信じてる




「誰も悲しませたりしないで」


ビクッ

桃花さんが肩を震わせた。


「桃花、」

「ワカッテルワよ」

「桃花、もうイイジャナイ」

「ワカッテルワ」



すっ、
向けられていた重い塊がわたしの頭から離れた。

重みと緊張が薄れた瞬間に胃から何かが突き上げられてきた。




「っ」

持っていたハンカチで慌てて口を押さえる。



「…アナタ大丈夫なの?もしかして子ども?」



戸惑いながらもわたしの背中を擦ってくれたふたり。

「わたし祖国にカエッテ子どもに会いたいわ」

「わたしもよ」


ふたりはつわりで青くなってるわたしを優しく労ってくれてる。


「わたし、桐花さんにも桃花さんにも不幸になってほしくない」




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