若恋【完】
「自分の手を汚さないで他人を操って高見の見物をしているような輩は、せっかくのショーをトラブルがあったからって途中で見るのをやめるか?
俺なら多少のトラブルがあったって最後まで見届けるね」
ポケットに手を突っ込み自慢げに笑った。
「だ、そうだ」
「仁の野性的な勘はこういう時には鋭いですからね。一番当たるんです」
榊さんが仁お兄ちゃんの肩を叩いた。
野生の熊のみたいな表現だと思ったけど、仁お兄ちゃんはまるで気にしていないみたいだった。
「りお、俺の勘はよく当たるんだぜ」
「じゃ、パーティーでその森内って人に飲ませるの?」
奏さんの袖を引いて聞いたら、「そうする」と答えた。
「ここからは俺たちの汚い仕事だ。りおがその先を気にすることはねぇぞ」
「…うん、わかった」
裏の世界のことはわたしには難しくてよくわからない。
わからないわたしにさらにわからないようにして仕事をしてる奏さんや榊さん、仁お兄ちゃんがいた。