若恋【完】
「大神さんにおまかせします」
え?
「娘の腕を治してやってください。お願いします」
丁寧に頭を下げたのはお父さん。
「大神さんにはご迷惑をお掛けすることになりますが、娘をよろしくお願いします」
「―――俺は、」
「存じてます。大神組の方ですね」
「ええっ?」
びっくりした。
大神組って言えばこの街では有名だったから。
この街は大神組に守られている。
「―――俺が怖いか?」
切なさを浮かべた大神さんの表情にドキリとした。
わたしは首を横に振った。
「そうか、ならいい」
怖くない。
大神さんの優しさがわかったから。