若恋【完】
肩越しに振り向くと、奏さんがククッと笑ったのが見えた。
「俺がこのまま狩野を逃がすと思うか」
「奏さん」
「狩野が大神を潰そうとするならそれ相応の代償を払ってもらう」
裏の世界を生きる奏さんの姿が誇らしく思えた。
頭が切れて行動が早くて、誰もが憧れて。
榊さんだって、仁お兄ちゃんだって、毅さん、一也さんもみんなみんな奏さんを愛してる。
孤高で気高くて。
みんなが奏さんを慕ってる。
大好きで。
わたしを大事にしてくれる奏さんが大好きで。
ずっと側にいたい。
奏さんのそばにいることがどんなにか大変でも離れたくない。
「狩野を追い詰めるのはできるから大丈夫だ」
頭を優しく撫でられてわたしは奏さんを仰ぎ見た。
「おまえが不安に思うことねぇぞ」
「うん」
「おまえが狙われるかもしれねえのに放っておけるわけねえだろ」