若恋【完】
冷ややかに奏さんが狩野を見つめる。
「なんて叫んだか覚えてるか?」
「ええ、覚えてますよ『蚊帳の外にいるんじゃねぇぞ!道連れだ!』と」
「なぜ森内はおまえの名を叫んだと思う?」
声が鋭くなっていく。
見てるわたしもドキドキしてくる。
「なぜ森内が叫んだんだ?おまえと森内の間には何がある?」
嘲笑うように狩野は奏さんを斜めに見返した。
「別に何もありませんよ、若」
「あくまでも惚ける気か?」
「惚けるなんてしてませんよ」
奏さんを見て話してるはずなのに後ろにいるわたしを睨んでいるように感じられるのはなぜ?
「森内と何故手を組んでいる?俺たちの何が狙いだ?」
奏さんが一歩踏み出して狩野に迫る。
わたしを背中に隠すようにして視線を遮る。
「森内は大神に勝てると践んだんでしょう。バカな奴です」