若恋【完】
嘲る乾いた笑いを上げて奏さんを全否定する。
「若、わたしは森内のように甘くはありません。もし仮に森内とわたしが組んで何かを企んでいるんだとしたら証拠はありますか?憶測でものを言われたら困ります」
「なっ!」
奏さんを馬鹿にしたかのような発言に飛び出しかけて、またも奏さんの背に庇われた。
「じゃあ、証拠があったら森内と手を組んでたことを認めるか?」
「ええ、認めましょう。証拠があるならね」
ちらり。
奏さんの庇ってくれてる背中から見えたのは狩野の卑下た笑いだった。
会場内には狩野の笑い声だけが響いてて異様な雰囲気だった。
「若、桐花さんと桃花さんが戻ってきました」
榊さんが軽い足取りで戻ってきた。
「桐花さん!桃花さん!」
無事だったのね、よかった。
会場内に入ってきたふたりの元気な姿に素直に喜んだ。