若恋【完】


「証拠ならコレよ」


わたしがふたりに手を広げるとふたりもわたしを抱き締めた。

その手には小さな巾着袋が握られていた。

「桐花さん、これは?」

小さな袋には何が?


「モリウチがホケンって言ってたの」

「開けてもいい?」

「イイワよ」



シャク。

開けてみたら箱に入った写真数枚と紙切れ。

写真を手に取ると、写ってたのはやはりふたりのツーショット。
隠し撮りされたのか写真のふたりがカメラ目線を気にした素振りもなかった。

紙切れだと思ったのは誓約書のコピーみたいなものだった。



「わたしたちがドチラカ死ぬようなことがあったらバラマクつもりだったわ」



「ふん、そんなものが証拠になるか」

「なるぞ、狩野」


奏さんが不敵に笑みを浮かべて狩野を見下ろした。


「証拠はこれだ」




床に放り投げられたもの。


それは―――二丁の銃だった。





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