若恋【完】
「りお、何を泣いてる?」
え?
「何か怖い夢でも見たか?」
どうした?
泣きじゃくって奏さんに揺すられて起こされて、はじめて。
今見たものが夢だったと気づいた。
―――夢?
「どうした?いきなり泣き出して」
まるで小さい子をあやすように頭を撫でてわたしを落ち着かせる。
「…夢みたの」
まだ震えが止まらない。
ほら、指先が白くて血が通ってない。
息ができなくなるってこういうことだ。
命が削り取られたような切なさと苦しさに胸を掻きむしりたくなる。
「どんな夢だ?悲しい夢だったのか?」
夢の余韻にまた泣きそうになって唇を噛む。
宵、まだ朝には遠い。
小さな灯りの中で、わたしの大好きな奏さんの瞳が優しく見つめてる。