若恋【完】
わたしの大好きな奏さんはみんなの前から、わたしの前からいなくなったりしない。
「安心してろ。俺には守るべきものができた。命を粗末にしたりはしねえ」
後ろから抱き締めてた奏さんの両手がわたしのお腹に下がる。
「俺の子だ」
ドキンドキン
奏さんの両手が滑りそっと触れる。
「おまえと俺の子だ」
守るべきもの。
奏さんにとってわたしとお腹の赤ちゃんは守るべきもの。そう言ってくれる。
「だから安心してろ」
「うん」
小さく囁きを落とすような優しい声音。