若恋【完】
小さな命誕生!
半年後。
「…奏さん、いたい、」
痛みの間隔が一時間おきから段々狭まってくる。
お腹がスイカのようにまん丸になったわたしのそばにいるのは、いつもは冷静な奏さん。
「りお、大丈夫か?」
苦しむわたしの背中を撫でる手も必死で、榊さんも仁お兄ちゃんも余裕でいるのに対してオロオロしてる。
「若、まだまだ赤ん坊は生まれませんよ」
「りお、おまえは痛がるの大袈裟なんだよ。本には陣痛がきてから産むまでには丸1日がかかるって書いてたぞ」
陣痛が始まってまだ五時間くらいじゃないか。
まだまだぞ。
「仁お兄ちゃん、でも痛いのは痛いの!」
生理痛のヒドイのが来てるみたいで、腰も砕けるように痛いの。
それなのに、榊さんと仁お兄ちゃんはソファーに足を投げ出して座って赤ちゃんの本を見てる。
そんなふたりにわたしも完全に八つ当たり。