若恋【完】
「若、わたしからもりおさんに」
「俺も、りおにこれやる」
二神産婦人科へ着くと榊さんからも仁お兄ちゃんからも安産の御守りが。
みんなが示し合わせたようにくれたのに笑え、滅多に声を出して笑わない奏さんも声をあげて笑った。
「俺の子は幸福者だな」
「若には幸せになってもらわないと困ります」
「りおを幸せにしてもらわないとな」
榊さんも仁お兄ちゃんも目配せする。
「あたりめえだな。りおを幸せにしてやれるのは俺だけだからな」
「若、そろそろ」
「ああ、組の仕事はしばらくは榊、頼むぞ」
「承知してます」
「生まれたらすぐ連絡いれる」
「はい。では、若、りおさんまた」
「じゃあな」
病院の前で榊さん仁お兄ちゃんと別れ、奏さんと車を見送った。