若恋【完】
事件勃発
「ホントに可愛い子ね」
看護師さんが赤ちゃんの頬を撫でた。
「大神さんの旦那さんにそっくりね」
マジマジと顔を見てから、小さな足の裏にマジックでフルネームでわたしの名前を書く。
足首にも取り間違えがないようにとネームの書かれた足輪をする。
「もし間違いがあると困るからね。生まれたばかりの赤ちゃんは7回顔が変わるって言うからわからなくなる親もいるのわかるわ」
そう教えてくれた。
それから、赤ちゃんは検査があるから一旦保育器に入って、異常がないかを確かめてから、ミルクの時間だけ部屋の方に看護師さんが連れてきてくれるってことだった。
奏さんはわたしが静養室で休んでいる間に、外に電話を掛けに出てる。
今ごろは、赤ちゃんが無事に生まれたとみんなに伝えているね。
朝になればわたしのお父さんもお母さんも。
奏さんの家族も。
かわいい天使の顔を観にきてくれる。
きっと。
―――喜んでくれるね