若恋【完】
今では腕も指のケガもかなり良くなって、普通の生活を送るのであれば支障はなくて。
「奏さん、ホントにもう大丈夫だから、ね?」
わたしのケガは奏さんのせいじゃないからね?
そう言っても、奏さんは首を横に振る。
手術の後、わたしの両親以外は誰も近づけさせず、わたしに付きっきりで過ごし最近になってようやく自分の仕事に戻った。
奏さんは優しいからわたしを巻き込んで傷つけてしまったことに責任を感じてるんだ。
だからここまでしてくれるんだ。
奏さんのせいじゃないのに……
わたしのケガも良くなってきてるし、このままいつまでも奏さんの世話になってるわけにもいかないし。
「あのね、奏さん」
「ん?なんだ?」
「奏さんにはいろいろお世話になって感謝してる。だけどもうケガも良くなったし……」