若恋【完】
バシッ
バシッ
バシッ
何度殴っても足りない。
わたしの非力な手のひらが痛みを増すだけ。
バシッ
バシッバシッ
こんな最低の男に順子さんがどんなにか傷ついたんだと思ったら殴るだけでは足りない気がした。
叩いても叩いても、順子さんやわたしの思いは目の前にいる最低男には届かない。
どんなに言葉を尽くしても最低男には響かない。
響かない。
悔しくて。
悲しくて。
生まれた子供が実の親に殺されそうになって。
そんな酷い話ってあるの?
彼女が何をしたっていうの?
宿った命を大切にしただけなのに。
どうしてそっとしておいてくれなかったの?