若恋【完】
榊さんが玄関のドアを開けてくれた。
ガラッ
開けた瞬間、目の前にはみんなの満面の笑顔がある。
毅さん、前広さん、一也さん、拓也さん、みんなの笑顔が揃っていた。
「若、りおさん、坊っちゃんお帰りなさいまし」
腕に抱いた子を驚かさないようにして、みんなが我先にと覗き込む。
「若に似てますね」
「眉や目元、鼻筋がすっと通ってそっくりです」
「あ、欠伸した」
小さな欠伸をした子が気配を感じたのかパチリと目を開いた。
「おお!」
「目が開いた」
睫毛の下にパッチリした黒曜石の瞳が現れた。
「若にそっくりですね」
「だろ?」
「…奏さん」
肩越しに振り向くとすぐ後ろには奏さんがいた。
「俺に似ていい男だろ?」
自慢気に口の端を上げて笑うと、みんなも笑みを溢した。