若恋【完】



榊さんが玄関のドアを開けてくれた。


ガラッ


開けた瞬間、目の前にはみんなの満面の笑顔がある。
毅さん、前広さん、一也さん、拓也さん、みんなの笑顔が揃っていた。



「若、りおさん、坊っちゃんお帰りなさいまし」



腕に抱いた子を驚かさないようにして、みんなが我先にと覗き込む。



「若に似てますね」
「眉や目元、鼻筋がすっと通ってそっくりです」
「あ、欠伸した」



小さな欠伸をした子が気配を感じたのかパチリと目を開いた。



「おお!」
「目が開いた」



睫毛の下にパッチリした黒曜石の瞳が現れた。



「若にそっくりですね」


「だろ?」



「…奏さん」

肩越しに振り向くとすぐ後ろには奏さんがいた。



「俺に似ていい男だろ?」


自慢気に口の端を上げて笑うと、みんなも笑みを溢した。




< 394 / 417 >

この作品をシェア

pagetop