若恋【完】
大きなお腹を抱えて出て行った時はここでみんなが安産の御守りを手渡してくれたね。
だからこんなに元気で生まれてきたんだよ?
「みんなの御守りのおかげで安産だったの。ありがとう」
本当にそう。
わたしが握りしめたたくさんの御守りにはみんなの気持ちがたくさん詰まっていた。
―――母子共に健康で
みんなの気持ちが素直に嬉しくて伝えずにはいられない。
「みんなが大好きだよ。ありがとう」
頭を下げると、
「若にヤキモチ妬かれちゃいますよ」
前広さんに笑われた。
「みんな、ただいま」
「お帰りなさい、りおさん、坊っちゃん」
ただいま。
お帰りなさい。
その当たり前の言葉がわたしにはすごくうれしかった。