若恋【完】
「俺に近づく女は『欲』の塊のような女ばかりだった。そんな女ばかりみてきたから、それが普通なんだろうと思ってたが……おまえは違った」
「……え?」
「おまえは俺が汚していい女じゃない」
びっくりして身動ぎすると奏さんは大事そうに抱え直した。
「りおの両親にはまた改めて俺に預けてもらえるように頼んでくる。……おまえを失うようなことはしたくない」
「奏さん?」
「約束する。おまえを絶対に守る」
いったいどういう意味?
わかったのは、今は奏さんのそばにいるのが一番安全だってこと。
わたしの嫌がるようなことはしない。安心してリハビリをしていればいいってこと。
わたしはリハビリが終わる頃には、以前のようなごく普通の暮らしにすぐに戻れると。
その時はそう思っていた―――