若恋【完】
「奏さん、お願いっ!」
毎日、榊さんと仁さんの護衛で学校に行っていたけど学校の往復しかしてないのっ!
たまには買い物したいし映画だって観に行きたいよぉっ!
わがままを言って奏さんを困らせて、とうとう奏さんが折れた。
「仕方がねえな」
頭を掻く。
「榊、仁、行くぞ」
わあい〜。
ある日の日曜日。
奏さんを口説き落として街へ行くことになって、
奏さんがわたしの手を引いて車から降りた。
降りた場所はいかにも高級そうな店。
入れるはずもない。
わたしがよく買い物してたのは街角にある全身トータルコーディネートしても一、二万円くらいの店。
店の格が違う。
それなのに奏さんはわたしを引っ張って店にいれた。
「まあ、大神さま」
とっても美人な女性が奏さんににっこりとあいさつをする。
「俺の女に服を…ああ、靴も。バックもいるな。なるべくこいつの好みの服を」
「かしこまりました」
「こちらへ」
奏さんと榊さん仁さんは三人して「行ってこい」って手を振って、わたしはというと高級そうな店にオドオド。