若恋【完】
「りおさん、とても似合ってますよ」
無言だった奏さんと仁さんとは違って、榊さんはあくまでも紳士に微笑んでくれた。
「背中のリボンのアクセントがいいですね」
「でしょう?」
ウキウキして値段見てなかったけれど、支払いをするときになってかなりの値段がしたことに気づいた。
ブラックカードでの支払いを榊さんが奏さんの代わりにした。
「奏さん、ごめんなさい。こんなに高い服だって知らなくて」
「ん?……何が高いんだ?」
奏さんが不思議そうに首を傾げた。
それを見て横で仁さんが、「若はそういうところが坊っちゃん育ちですからね」って、可笑しそうに笑った。
次に入った店でも同じように買い物してカードで支払いを済ませ、また隣の店へ。
隣はジュエリーショップで、ガラス張りのショーウインドーの中にはお洒落で素敵な宝石がたくさん並んでた。
わお!女の子の憧れ!覗くだけでもいい。見たい。
「わあ、すごいステキ!」
「入るぞ」
奏さんがわたしの手を握って店に入ってく。