の行方と風の向き【短編】
次の日の金曜日の3時限目の算数の時間…
… 一匹のノライヌが学校の校庭に迷い込んだ!
昔はよくある光景だったが、最近では珍しい事だった…そしてその犬の目付きは非常に危ない感じで、ヨダレをダラダラと異常な程、垂らしていた…
算数の苦手な大輝は授業に全く身が入らず、外ばかり見ていたので、一番にそれに気付いた!
『うお〜っ!こんなとこに来やがった〜!』
『なんですか授業中に大声をあげて〜!』
『だって先生!ほらっあれあれ〜!
昨日、テレビでやってたほらっ!』
朝の朝礼でも校長先生が、もし遭遇しても危険だから絶対に近ずかないようにと、何度も言っていた。
そして、警察官も多摩全域のあちこちでパトロールに回り、街頭マイクで警戒を呼びかけていた。
昨日のニュースでは、狂犬病にかかった一匹の野良犬が、八王子付近を徘徊していると報じていた。
おそらく、人に飼われていて、捨てられた子犬らが、高尾山辺りに逃げこみ、いつの間にか群れになり、その子犬達がやがて子供を産み、またその犬が子供を産むという感じのものを何度か繰り返し、野性化した野良犬なのではないかと思われていた。
…狂犬病に感染した人は、100%死に至るらしい…
そしてゆっくりと正門から一番近い、2年1組のプレハブ教室に近づいて来た…