の行方と風の向き【短編】
元気は、その言葉とマームの表情から、何か想像もつかないような出来事が起こる事を、すぐに理解した!

それでも元気は、マームが傍にいるから、怖くはなかった。

そして心の準備が出来た後、すぐに奏ちゃんの事が気になった!

ふと視線を奏ちゃんに向けると、申し合わせたように奏ちゃんも、こっちを向いた…



外は先程よりも激しさを増していた!小林先生は不安そうなみんなを気遣って一旦授業を中断し、ばらばらに座っていた席を小さく一つにまとめた。

少し危険を感じる窓際は誰もいなくなり、みんな先生の近くに寄り添い、元気もそれにしたがった。
…プレハブ教室のトタンぶきの屋根が、バタバタと音をたて、空をバタフライで激しく泳ぐように、たなびいていた…





(効果音:ヘリコプター)

そんな中、とある社長の新機ヘリコプターを納品する為に、ベテランの操縦士が試運転の、テスト飛行を続けていた。
レーダーによって、この天候は予測をしていたので、ベテラン操縦士は嫌な予感がしていたのだが、今日を逃すとお客様への指定日納期に遅れてしまう為、無理矢理飛行したのだ。
ベテラン操縦士は悔やんでいた。
やはり、今日はテスト飛行かできるような天候ではなかったのだ…。

もっとも上の判断によるものだから、自分の意思は反映されないのだが…


そして、この急な激しい風とカミナリと、リコールがよく出るこの欠陥機のせいで、計器類や無線もすべて壊れ、誰にも連絡する事ができなかった。

操縦士は急遽予定を変更し、ここから一番近いヘリポートの調布飛行場へと向かった!

この道20年のベテランも、初めてのこのトラブルに焦りを感じていた!
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