の行方と風の向き【短編】

マームはこの嵐のような雨風の中で 思うように頭が回らなかった。というより、天からの声(アドバイス)をこの天候によって、うまく拾う事ができなかった…
これ以上予知することが不可能になっていたので、何かがこのプレハブ教室に向かっている事も、マームには解らなかった…



ベテラン操縦士は視界だけをたよりに、とある学校のグラウンドに着地を試みた。


激しい雨が視界を遮っていた。そして、だだっ広いその運動場に降り立とうとしたその瞬間、掘っ建て小屋のような、土色の屋根が目に入ってきた…

操縦士は強風にあおられながらも、操縦桿を強く握り、何とか体勢を整え、もう一度上昇しようとしたが、再度ガクンッと又何かが壊れ、操縦桿が暴れ出し、プレハブ教室の真上で旋回した…

生徒達はそのヘリコプターの上空での轟音が、空が破れた音に聞こえ、、全員が先生にしがみつき、先生は皆をかばうように16人の生徒の肩を抱きかかえた!

小林先生は金曜日の出来事を心から反省をしていた。

女性である事に甘えた訳ではないのだが、金曜日は生徒達を、自分の力で守ってあげる事が出来なかった…。

今、又なぜかこういう場面に出くわし、自らを奮い立たせた。
(…今度は私が子供達を守る!)
そう強く願う事で、女性も男性も、もうここは関係なかった…
しっかりとした意思と力で、生徒達を抱きしめた。


元気も奏ちゃんに、覆いかぶさるようにしてかばいながら、真上を見上げた時、ヘリコプターの風をまともに受けたトタンぶきの屋根が、それ事すべて上空に吹き飛び、教室は完全に剥き出しになってしまった…!

教室には物凄い轟音と激しい雨風が降り注ぎ、真上のヘリコプターはバランスを失い、屋根のないプレハブ教室に、今にも落ちそうになっていた…。

機体がプロペラの部分と一緒にグルグルと回り始め、完全に操縦不能になったその時…


…生徒達は涙を流しながら、口々に自分の神様の名前を叫んだ!





…〜マームとの別れ

につづく
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