の行方と風の向き【短編】
『行ってきま〜す』
奏:『オッハヨ〜』
元気:『おっぱっぴ〜』
元気は流行り言葉で彼女の挨拶に答えた。
近所に住んでいて、元気がひそかに想いを寄せている奏(かなで)ちゃんだ!
奏:『昨日、テレビであれ見た〜まさかあそこであれが〜』
二人はたわいのないおしゃべりをしながら、学校までのわずかな道のりを楽しんだ!
しかし、元気のある元気の肩には、元気のない天使が元気の歩く揺れのリズムで、両足をプラプラと揺らし、うつむき加減で沈み込んでいた…
(…まだ、小学2年生なのに… )
( … )
元気の通う2年1組のクラスは、担任が小林先生という30歳ちょうどの三十路の女性で、そこそこ生徒にも評判か良かった!
そしてその1組の教室は今、グラウンドの真ん中よりやや正門よりのプレハブ教室だった。
一連の耐震偽装の影響等を受け、各教室の強度補強工事を行っており、まず1年1組から工事を進め、今は2年1組の教室の、工事をしているのだ!
その間、1組はこの教室で授業をしているのだった。
元気はいつものように教室に入り、いつものように笑顔を弾けさせ、みんなの輪の中に入りこんで行った…。
マームはまだ新米の天使だった。
まだ子供につくのは2人目だった。
天使にも経験をつんでいくのは非常に重要な事で、やれる事はまだまだ限られていた…
もうマームは前と同じ経験は絶対にしたくなかった…
マームはしっかりと正面を見据え、今度こそ…と心に誓った。