太陽と星
とうとうその日は薫からの連絡が

くる事はなかった


次の日クラブの帰り薫から呼び止められた

「真琴~昨日はゴメンなぁ」


「ううん!急用やったらしょうがないやん

でもみんな心配しとったで・・・」


「あぁ~わりぃ!でももう解決したから・・・」

なぜか薫の目が泳いでいる


「どう?おもろかったぁ?」

話題を代えたがっているようだ


私は思い切って聞いてみた

「昨日病院行った?」


「えっ・・・何で?」

明らかに薫は動揺している


昨日ユカリのお母さんに会って聞いた話をした

(行ってないよ 人違いちゃうか)

そんな言葉を期待していた


だが薫の口から出た言葉は

真琴を打ちのめした


「泣いてたから・・・

俺しかおらんって言うから

病院まで付き添ったんや・・・」


「産婦人科やろ?こども堕したん?」

「うん・・・」


「私の他にも付き合ってる子おったん?

薫がその子を妊娠させたん?」


「それは違う!!!」


「ほんなら何でよ!何で薫が付き添うん?」


「・・・・・元カノやから・・・」


「なんぼ元カノでも・・・

私より元カノ選んだんや」

言いたくなかった言葉を言ってしまった


売り言葉に買い言葉で薫もこう言った


「真琴とはまたいつでも行けるやん!

でも泣きながら俺を頼ってきたアイツの事

見捨てることできへんやんけ!」


薫の言う事はわかる

でも元カノとの過去が真琴の頭から離れない


薫の初めの彼女・・・

そして初体験の相手・・・

一生忘れることのない相手だろう




その時の私はこんな薫の『優しさ』が

許せなかったんだ・・・


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