太陽と星
拓の専用の冷蔵庫から

チューハイの缶を取り出し2人に渡した


拓は頭が痛いと言って自分のベッドで

寝転がっている


暫くすると寝息を立て始めた


恭二は康平に聞いた


「このままやったらあいつ秋の大会

ベンチにも入られへんちゃうん?」


「ほんまヤバイでな~

何とかしてやりたいんやけど

自分が立ち直ってくれんとなぁ…」



「そもそも何で真琴って子と別れたん?」


「俺もあんまり詳しく聞いてないけど

咲季が言うにはこんなとこや…」


そう言って別れの経緯を語りだした


薫の事を乗り越え二人で付き合っていく

と決めた矢先薫が亡くなってしまった


折角拓と向き合う決心をした真琴だったが

薫の回復の道を断ち

死期を早めたのは自分のせいだと

罪の意識に苛まれた


心の中には今まで以上に薫の存在が

大きくなる


このままでは拓の気持ちに

答える事はできない


ますます拓を苦しめる事になると

自分から身を引いた


拓は繋ぎ止めたかったが

もうこの世にいない人を相手に

勝ち目はないと泣く泣く真琴を諦めた




聞き終えた恭二は納得いかない


「薫ってやつには悪いけどよ~

もう死んでしもたんやろ?

拓と頑張っていったらええんちゃうん?」


康平も同感だった


だが拓は例え意識がなくてもその“彼”の

彼女を奪おうとした事を悔いていた




「理香に頼んで真琴って子に

連絡してみるか?」


「そやけど真琴ちゃんにも事情が

あるやろうからな~

また俺から理香に聞いとくわ」


例え拓の為とはいえ

今さら真琴に連絡してもいいものかと

康平は考えていた…


< 297 / 357 >

この作品をシェア

pagetop